2025年北米🇺🇸🇨🇦サマーリーグも終わりを迎え、それに伴いサマーリーグを全体を通してのインタビューを各選手に行っていきます。第4弾は米ワシントン州フォールシティ市のノースウェスト・ホンカーズでプレーした神野哲聖選手(外野手)です!
- 今回のサマーリーグを振り返って
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今回の挑戦は、2年間のブランクを経て臨んだ特別なシーズンでした。渡米前に打撃フォームを大きく変え、縦振りを意識したスイングに取り組みましたが、その影響でフォームが崩れてしまい、最後まで固まらず、打撃成績も安定しませんでした。思い通りに結果を出せない悔しさはありましたが、その中でも少しずつ感覚を掴もうと模索を続ける事で、多くの学びを得る事が出来ました。一方で守備面は、最初は人工芝での球足の速さや打球の跳ね方やフライ系の打球の飛び方に微妙な違いがあり、落下点の予測が慣れるまで難しかった事。そして、太陽の向きがモロに被って眩し過ぎて打球が見えないといった様な現地特有の環境に戸惑ったものの、試合を重ねる中で、アドバイスやヒントを貰ったり、自分なりに色々試したり工夫する事で、最終的にはある程度自信を持って守れるようになりました。
アメリカに行くのは今回が初めてでしたが、買い物や食事、日常の小さな場面に新鮮さを感じると同時に、余り違和感を感じる事なくアジャストしていた自分が居ました。食事は、敢えて細かい栄養には拘らず、炭水化物とタンパク質だけは意識して、とにかく腹が満たされれば良いという感覚で、ほとんどレンジで調理できる冷凍食品と食パンやバンズ等で前半1ヶ月を過ごしましたが、後半からは米を炊いてみたりもしました。チームメイトからは、「グリルを使った方が美味しく焼けるよ」「グリルを使え」とよく言われましたが、手間なのも有って、結局一度も使いませんでした。全体的に外食においてもシンプルかつボリューム満点な肉料理が多く、自分にはとても合っていた様に思います。そうした環境のお陰か、2ヶ月間、ウェイトトレーニングは数える程しかやっていませんが、全くパワーダウンを感じる事がありませんでした。実際扱える重量も落ちていませんでした。日本の食生活でこれをやると、絶対にすぐにパワーダウンやパフォーマンスダウンが不安になる所なので、この感覚は新鮮で、ずっとアメリカに居たいぐらいでした。帰国後に体重を計ってみると、基礎体重が2キロ程増えており、食事が摂れなかったり、激しい運動をしても80キロを切る事が無くなったのは個人的に嬉しい変化でした。
- 日本とアメリカの差
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アメリカの野球文化でまず驚いたのは、ウォームアップの簡略さです。球場に到着してから試合開始までの時間が非常に短く、日本のように丁寧な準備運動をする習慣はあまりありません。正直、怪我やパフォーマンス低下につながるのではと思うこともありました。また、球速やストレートの質に関しては、ざっくり全体を見ると日本の投手陣と余り違いは無い様に感じました。渡米前は「アメリカ=力と力の勝負」というイメージを持っていましたが、実際には変化球主体の技術的な配球や駆け引きが多く、相手の弱点を徹底的に突いてくるスタイルが主流でした。特にチェンジアップとスライダーへの対応に最後まで苦しめられました。
しかし、その中でも長身で角度と球威のある真っ直ぐを投げる投手も居り、その球は視界から一瞬消える様な今までに無い感覚で衝撃を受けました。生活面ではカルチャーショックも多々ありました。土足エリアの室内や庭で靴を履かずに裸足でうろつくルームメイトが居たり、カナダ遠征では3日連続でトイレが詰まり、水が溢れてくるなど、日本と比べると快適とは言い難い部分もありました。ただ、こうした環境は逆に自分のハングリー精神を鍛える良い機会にもなりました。また、ルームメイトを含め、周囲の人はとにかく明るかったです。特に印象的だったのは、カナダ遠征で試合で負けて物に当たるほど悔しがっていた選手が、その夜には楽しそうにお酒を飲んでいて、切り替えの早さに驚きました笑
- 成長した点
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不完全なコンディションの中でもその時の自分なりにベストなパフォーマンスを発揮する力が身につきました。環境や体調が万全でなくても、今ある力で戦う感覚に慣れる事が出来たのは大きな収穫です。
打撃面では、タイミングの取り方や腕の使い方、下半身の使い方を改善できたのが大きな前進でした。そのきっかけを与えてくれたのが、監督兼ホストファーザーのマーティンです。彼はある程度日本語も話せるため、英語力に自信がない自分にとって非常に心強い存在でした。常に熱心に指導してくれ、最後まで頼れる師であり続けてくれました。また、粟国には様々な面でかなり助けられましたが、野球の技術面においても、打撃から守備まで何でも相談に乗ってくれて、練習に付き合ってくれたり、持っている知識や技術を惜しみ無く教えてくれて、本当に感謝しています。

- 印象に残った選手や指導者
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マーティン監督:落ち込んでいる時には「楽しんで!」と声をかけてくれたり、前向きで明るくなる様な言葉を常にくれて、「気を遣わせてしまって申し訳ないな」「早く何とか結果でお返ししないといけないな」と常に思っていました。一方で、必要な時にはあえて距離を置き、そっと見守ってくれる懐の深さも持っていました。選手の気持ちをよく理解してくれる素晴らしい監督だと強く感じました。
ペドロ選手:普段は物静かな選手ですが、審判に抗議して退場になった事もありました。それもダブルヘッダー1試合目の1回表で。笑 野球となるとこんなに熱い一面もあるんだなぁと驚くと同時に、自分の中でも何か心を動かされるものがありました。また、カナダ遠征時のオフではチームで湖に出かけた際、ビーチバレーをしている選手も居る中で、一緒にベンチに座ってお腹が減ったねと話していると、自前のコンパクトなグリルでホットドッグを焼いてプレゼントしてくれる優しさもありました。
- コミュニケーションにおいて
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想像以上に日常的な会話は何とかできましたが、ミーティングや戦術面の英語理解には苦戦しました。特に、試合中の指示がうまく伝わらず、それがミスにつながった場面もありました。具体的には打席に向かう際に、何か話しかけられ、てっきり僕はセーフティバントをしろと言われたと思いました。しかし実際は、普通に打ってよくて、とにかく出塁した際に次の打者にバントをさせるからリードを小さめにしておいてねという指示だったという事がありました。やはり英語力はある程度あった方が、戦術や意図を正確に理解し、より細かい野球をする上で困らないと思いました。
- アメリカ挑戦を考えている選手へ
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もし明確な目的や目標があって、ある程度時間をかけででも準備をしてきて「これならいける!」という自信が少しでもあるなら、他の細かい生活の部分等で多少の不安があってもとにかく飛び込んでみる事が大切だと思います。不安な気持ちが優位になってくると、「やめておいた方が良い理由」はどんどん増えてしまいます。案外、実際に行ってみると何とかなる事が多かったり、大して悩む必要が無かったなと思う事が多かったです。適切な段階を踏んだ上で自分のプレーや能力に少しでも根拠のある自信があるのであれば、歳をとってから後悔しない為にも、結果がどうであれ、挑戦してみる事をおすすめします。それが必ず貴重な経験や学びに繋がりますし、きっと自分を大きく成長させてくれるはずです。

チーム成績
41試合25勝16敗(8球団中3位)
個人成績
| 打率 | .242 |
| 打数 | 95 |
| 安打数 | 23 |
| 2塁打 | 2 |
| 3塁打 | 0 |
| 本塁打 | 0 |
| 打点 | 7 |
| 盗塁 | 8 |
| 四死球 | 17 |
神野選手の挑戦は、結果だけでなく、その過程においても多くの価値を生み出しました。異国の環境で試行錯誤を重ねながら成長を続ける姿は、同じ志を持つ選手たちに大きな刺激を与えたはずです。これから新たなステージで力を発揮していく神野選手の活躍に期待します。
引き続き神野選手への温かいご支援ご声援を宜しくお願い申し上げます!
応援メッセージはXで!
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